宗教を勉強したいのですがどうすればいいですか?

ありがたいことに、最近はさまざまな人と接する機会が多くあります。そして、自己紹介をするときに、「宗教を勉強していまして…」みたいなことを言うのですが、「私も宗教に興味があるのですけど、勉強の仕方がわからないんですよね」と返されることが少なくありません。実はこれ、なかなか難しい問題で、私も未だに答えを出せていないのですが、ちょっとここで考えをまとめてみます。

なぜ宗教を勉強するのは難しいのか

さまざまな要因を指摘することができると思いますが、主なものとして以下の3つがあるのではないかと考えています。

中間がない

日本では宗教は嫌われるものですが、その宗教に興味を持ち、しっかりと勉強したいと考える人は、たぶん知性が高いのだと思います。そして、そういう人がまず行くであろう場所が図書館や書店でしょう。しかし、そこに並んでいる本には中間がありません。

宗教者も自身の宗教に興味を持ってもらいたいので、まったく宗教を知らない人でもとっつきやすいような本(「ゆる〜く生きる」的な感じのもの)を多く出しているのですが、それらは本当に簡単な内容で、その宗教がどういう思想を持っているかといったことはあまり詳細には語られない傾向にあります。そういう本が悪いわけではないのですが、ちゃんと勉強したい人にとっては物足りない内容になっていることが少なくありません。

それで、もうちょっと詳しく書かれた本を読みたいと思って探してみると、今度は大学教授のような偉い人が書いた大学レベルの専門書しかないことに気付かされます。これから宗教を勉強したいと思っている初心者なのに、そんな専門書を読めるわけがありません。

宗教の本には、そもそも興味がない人でもとっつきやすいレベルの易しいものと、大学レベルのそもそもある程度の知識を持っている人でないと読めないものしかないのです。ちょうどいいレベルの本がありません。

学ぶ対象や学ぶ目的が曖昧になっている

宗教を学ぶと言っても、宗教にはいろいろなものがありますし、宗教の何を理解したいのかによって学び方が変わってきます。

例えば、宗教一般(これが何を意味するのかはともかくとして)を学びたいのか、それとも仏教やキリスト教といった個別の宗教を学びたいのかをまずはっきりさせておく必要があるように思えます。

また、仮に仏教を勉強したいという場合でも、釈迦がいた時代の原始仏教なのか、それとも後の時代の大乗仏教なのかでも大きく変わってきます。それに、大乗仏教だとしても、日本と中国では違いがありますし、日本仏教だとしても浄土系と禅ではまた違います。

さらに言うと、信仰の有無も問題になってきます。何からの信仰を持っていてその信仰を深めるために学ぶのか、それとも信仰なしに宗教を客観的に知りたいのかで勉強の仕方が大きく変わります。学問的に言えば、神学的なアプローチをとるのか宗教史的なアプローチをとるのかの違いでしょうか。

ついでに言うと、宗教に関心を持ったきっかけによっては、宗教そのものを勉強するよりも、哲学や心理学、社会学といったものを勉強している方が良かったりもします。

以上のようなことを、これから宗教を勉強したいと思っている人が考慮できるわけもなく、結局、勉強を始めても迷子になってしまう、よくわからない、ということになるのではないかと思います。

学びたい対象である宗教をそもそもあまりイメージできない

個人的にこれが一番大きいのではないかと思っているのですが、でもうまく言語化できなくてうまく伝えられているか不安なのですけど、どうでしょうか。

何を勉強するにしても、最初に勉強する対象へのイメージが漠然とあると思います。経済でも法律でも医学でも心理学でも何でも良いんですけど、なんとなくイメージがあると思います。そのイメージが合っているか間違っているかは別として、イメージはできると思うのです。

でも、宗教を学ぶとなった場合、何を学ぼうとしているのかがよくわからなくなって来ることがあります。たぶんそれは、日本の教育で、宗教を宗教という名前で勉強してきていないからなのだろうと私は勝手に思っています。

どうやって勉強すればいいのか

「宗教を勉強するのは難しいというのはわかった、それで結局のところ、どうやって勉強すればいいんだ?」と聞かれたら、うーん、なかなかこれといった答えを出すのが難しいのですけども、しいて言うならば、大学に行くのがいいのではないかなと思います。

宗教に興味を持たれる方の多くは年配の方である印象を持っているのですが、宗教系の学問領域の大学院なら、定年退職後に入学される方も珍しくなく、全然アリな選択肢だと思います。いきなり大学院でやっていけるわけないだろ、という場合は学部に入学するのもいいと思うんですけども、正規の学生ではなく、科目履修生制度などを利用して、興味のある科目だけを選択するのもいいと思います。

ところで、なぜ大学なのかというと、まともに勉強できる場が大学しかないように私には思えるからです。本を読んで独学できるならそれが一番いいと思うのですが、先ほども書いたように、中間の本があまりありません。そして、近くの図書館や本屋に宗教系の本があるならまだいい方で、そもそも宗教系の本を置いていないところがほとんどではないでしょうか。

他にも、お寺や教会などの宗教施設に行くのもいいと思うのですが、あくまでも信仰の場であって、勉強の場ではありません。もちろんしっかりと勉強させてくれるところはあるのですが、全部が全部そうというわけではありませんし、勉強できるとしても、その組織の信仰を前提にしていることが多いと思われます。それが自分に合っているならいいのですが、学ぶ対象や学ぶ目的を自分でも把握できていない場合には止めておいたほうがいい気がします。

大学なら、教えてくれる人は宗教の研究者、専門家ですし、わからないことや本に載っていないことは先生に直接質問できますし、宗教系の本もある程度の数はあるはずです。大学に行っても結局は自分で本を読むことになるのですけど、それでも、大学に本があるということや、どの本を読めば良いのかを先生から教えてもらえること、そして繰り返しになりますけど、わからないことは先生に聞けることは大きな利点となるはずです。

まとめ

なんかあまりまとまりのない記事になってしまいました。宗教を勉強するのは難しいですね…。